フィギュアスケート

架空のジャンプ構成について(5月19日の朝カル講座の補足)

【5月28日追記】

以下の内容ですが、訂正したジャンプ構成にも不備がありまして・・・数日内に再度のこジャンプ構成関連の記事を書きます。ご指摘くださった皆様、ありがとうございます。ジャンプ構成を作るのって難しいのね、と実感中です。

 

先週土曜日の朝日カルチャーのテーマは「採点方法を学ぶ」でした。
来てくださった皆様、ありがとうございました!
今回も、とても楽しく有意義な時間になりました。

講座の際、ジャンプのリカバリーの説明に使おうと、講座直前に思いついた架空のジャンプ構成(男子フリー)を手書きしたものをお見せしたのですが、なんと、そのジャンプ構成、間違ってまして・・・当日、参加者さんに指摘されて「ほんとだー、すみません!」となり、「後日ツイッターとかでちゃんとしたものをお伝えしますね」と言ったまま、数日が経ち・・・ってことで、やっとアップします。
遅くなりました。

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A) 3回転以上の同じ種類のジャンプは2種類を2度ずつまでしか挑戦できない。(4回転と3回転は別ものとカウント

B) 同じジャンプを跳ぶときは、1つ以上はコンビネーションで。

C) コンビネーションは3回まで。

ジャンプのリカバリーの際に、上記のあたりに引っかかってミスってしまいがちなことを説明しようと上のような手書きジャンプ構成をお見せしたのですが、それが、こちらです(間違っているものです)

正しいのは、こちら(↓)です。
最後のジャンプを3Tじゃなくて2Tにしました。

この架空のジャンプ構成(正しい方)で説明したかったことがいくつかあるので、以下、説明します。

「A)3回転以上の同じ種類のジャンプは2種類を2度ずつまでしか挑戦できない」ので、8つ目のジャンプ「3S」は、(すでに3Aを2回、3Lzを2回跳んでいることから)0点になります。

ただし、ここで注意点が。
この8つ目のジャンプはコンビネーションで、後ろに2Tがついています。この場合、0点になるのは、3Sのみで、後ろの2Tの得点は入ります。

さらに。
5つ目のジャンプを見てください。
本当は「3Lz+3S」を予定していました。
でも、3Lzの着氷が乱れたのでしょうか、後ろに3Sをつけられず、単独の3Lzとなりました。

ひとまず転倒などせずに終えてほっとしたのもつかの間、「C)コンビネーションは3回まで」ということから、できればコンビネーションは3回入れたい。だからこの後のジャンプのどこかにジャンプをつけてコンビネーションジャンプにしたい、と考えます。

この選手の場合、7つ目で3Lzを予定しているのですが、ここで出てくるのが、先ほどの「B)同じジャンプを跳ぶときは、1つ以上はコンビネーションで」というルールです。
5つ目の3Lzが単独ジャンプになったので、7つ目のジャンプで予定通り3Lzを跳ぶのなら、これをコンビネーションにしなくてはなりません。
(違う種類のジャンプにする場合は、また話は変わります)。

ということで、7つ目のジャンプに向かいました。
が、この選手、今日は3Lzの調子が悪いんですね、やはり着氷で乱れて後ろにジャンプをつけられませんでした。
なので、5つ目のジャンプも7つ目のジャンプも「単独の3Lz」 となることに。
(コンビネーションにすべきだったのにできなかったジャンプは、「+REP」と記されて、基礎点は70%になります。この選手の場合、プロトコルでは、7つ目のジャンプは「3Lz+REP」という表記です)

この時、ある疑問がわいてきます。

それは、
「最後の8つ目のジャンプを、コンビネーションにしてもいいのか?」ってこと。

この選手は、1つ目と3つ目ですでにコンビネーションを跳んでいます。それ以外にはコンビネーションはないのですが、本当は、5つ目に跳ぼうと思っていて単独ジャンプに。そのあと7つ目で同じ3Lzでもコンビネーションをつけられなかった、という内情があります。

「B)同じジャンプを跳ぶときは、1つ以上はコンビネーションで」と決められているので、5つ目と7つ目の3Lzは、どちらも本当はコンビネーションにしたかったけど失敗して単独になったもの、ということで「コンビネーションジャンプ1」とカウントされたりはしないのか? と。

さて、答えです。

現行では、「(とはいっても、見かけではコンビネーションジャンプを2個しか跳んでないので、)もう1個跳んでいいよ(最後のコンビネーションも、ちゃんと跳べたら基礎点は予定通りカウントされますよ)」というルールになっています。

これらのこと、今季のグランプリファイナルでのジェイソン・ブラウンのプロトコルを見ると、よくわかります。
www.isuresults.com/results/season1718/gpf1718/data0105.pdf

2つ目のジャンプでコンビネーションができなかったので「+REP」になっているけれど、そのあとコンビネーションジャンプを3つ跳んでいますよね。

【もう少し詳しく・・・】
ジェイソンの2つ目の「3A」の基礎点について。
「<<(アンダーローテーション)」なので、3Aのアンダーローテーションの基礎点5.9から、「+REP」で70%となることで4.13点となっています。

なんだか、ものすごく文字が多くなってしまいましたが、ジェイソンのプロトコルを見ると「なるほど」と簡単にわかると思います。

 

 

こういうこと、もちろん知らなくてもフィギュアスケートは楽しめるし、それでいいと思います。
とはいえ、こういうことを基礎知識として持っていると、「ふむふむ、今、この選手はこういうことを考えたからこのジャンプを跳んだんだな」ということが演技を見ながら感じられて、おおおおっというぞわぞわした感激をリアルタイムで味わうこともできますし、それは、ライブ観戦のひとつの醍醐味でもありますよね。
(とはいっても近年は、詳しい方々がツイッターなどで瞬時に説明してくれるので、ルールなど苦手な方は無理に勉強するより、演技をのびのびと存分に楽しんだらいいんじゃないかな、と思います。)

下には、6月の講座のお知らせを。ファンタジーオンアイス神戸とかぶってしまって・・・結構みなさん神戸に行かれるそうとのお話を聞きました。てことで、「ここだけ話」を少し多めに、と思っています。時効だからもういいかな、みたいなお話とか。
とはいえ、神戸に行かれる方、楽しんできてください。私も金曜は神戸行きます!

 


朝日カルチャー新宿教室

6月16日(土)13:00-14:30
「ライターとして見てきたフィギュアスケート」
私が初めてフィギュアスケーターにインタビューしたのは、2002年でした。それから15年ほどの間、コーチ、振付師、関係者などにお話を聞いたり、試合やアイスショーの取材をしたりしてきました。そんななかで、感銘を受けたシーンややりとり、忘れられないエピソードなど、ライターとして見たり感じたりしてきたことをお話します。

ご質問などありましたら、朝日カルチャーセンターや私のメールアドレスへお送りください。(hasegawahitomi.com/profile/

 

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ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。