スケート雑感

宮原知子選手の「ちょうどいい心地よさ」について。

これは私のブログなので、ここに書かれていることはいずれも私の個人的な感想ですが、この1年くらいずっと個人的に、宮原知子さんが全体的にとてもいいバランスのところにいるなあ、それを見ているのは本当に気持ちがいいなあ、と意識下というか言語化しない領域でひっそりと思ってきました。

意識下で思っていた(感じていた)ことだったので、時々「やっぱりそうだよね」と思い出しつつすぐにすうっと忘れていたのですが、先日のNHK杯とGPシリーズの会見を見ているとき、急に、意識的にとらえるようになりました。
さらさらーっとまっすぐなロングヘアがつやつやできれいだなあーと思っていたときに、意識に、バーンと来た感じです。
そうだ、昨シーズンずっと、知子さんの演技中の身体のバランスのよさとか、ポジションの美しさとか、すべてがとても高レベルでのちょうどいいところにある、そんな気持ちよさを感じていたじゃん、と。

ピンクの衣装の『SAYURI』で何度か見せる、両腕を左右に伸ばして手首をきゅっと直角に立てるポジションの妙とか、ダブルアクセルを跳んだあとスピンにいく前の2歩が音とものすごく気持ちいい感じで合っているとか(音ハメとは違う感じで)。

スパイラルで足がいい感じでまっすぐ伸びた気持ちよさとか、オリンピックの『蝶々夫人』を終えたときに見せたガッツポーズの折り目正しさのようなものとか。
ちょっと違うけど、『蝶々夫人』の髪飾りが、なんか中にチョコが入ってそうないい感じの質量感で、すごくいい。
彼女のきっちりとしているところが、ものすごくいい感じに昇華されて、今の素晴らしくちょうどいい感じになってきたと思います。

そして、身体っていうか筋肉のつき方とかも、とっても理想的。
いいなあ、あの身体……って思ったけど、そうだった、2季前のシーズン半ばから、ものすごい筋トレをしてきたんだった。

トレーナーの出水先生にインタビューしたときに、知子ちゃんについてのノートの中の、トレーニングメニューのページを見せていただいたのですが、強烈でした。
B5のノート1ページとちょっとに、ぎっしりとメニューが書かれていたのですが、1行目がすでに「腹筋500と500」とか。
それが58種類くらいあったと思います。

昨年のシーズンオフに氷にまったく乗れなかった時期には、そのメニューをやるのに朝の8時から夜の8時くらいまでかかった、と彼女自身が言っていました。
だからこそのあの身体で、だからこそのあの腹筋(織田くんのジャパンオープン後のツイッターでの写真を見ました)なのね、と。

食事についてもいろいろ勉強したり変えたりしたことも、きっと関係あるのでしょう。
小柄だけど、演技ではそれを感じさせなくなったので、たまにほかの人たち(スケーター以外)と並んで立っている彼女を見ると、そうだ、小柄だったんじゃん、と改めて気づくような感じです。

ものすごく大きくまとめちゃうと、スケートがうまくなってきれいになった、ということになるのかもしれないけれど、このちょうどよさの妙。
全体を見ても細部を見ても、ものすごくちょうどいい。
なかなか、見られるものではないので、つぶさに見つめていきたいと思っています。

***********

フィギュアスケートLife Vol.15』、昨日発売になりました。宮原さんのインタビューも掲載されています。ザ・アイス大阪公演の前にお話をうかがいました。十分にインタビュー時間を取っていただきましたが、それでもお話が尽きずにもっと聞きたい、と思う時間でした。

ABOUT ME
hasegawahitomi
ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。