こども

出産をふりかえって

2016年の秋、予定日から11日遅れで男の子を出産しました。

初日と翌日はラミナリアやバルーンをやり、3-4日目は陣痛促進剤をトータルで20時間くらい?使って、なんとか3200グラムくらいの子を出しました。
バルーンは何となく知っていたけど、ラミナリアなんて、前日に調べるまで知らなかった。
そして今思うと、医者に「ラミナリアやるよ」と言われたわけでもないので、自分で調べていなかったら「何かわからないけど、大変に痛いものが突っ込まれている」というキョーフのみを感じることになるだけでした。
よかった、調べておいて。
いや、知らなかったほうがよかったのか?

とにかく、初日はラミナリアで、子宮口1センチが3センチになった。
2日目はバルーンで3センチが4センチになった。
それだけ、でした。
そして、3日目、4日目と陣痛促進剤に。

陣痛促進剤のことはほぼなにも調べておらず、「陣痛を促進するものだよね」という認識だったのですが、調べていなくてよかったかも。
あとからいろいろな人に聞いたり調べたりすると、促進剤はとにかく痛い、らしいから。
そうよね、自分のペースじゃなくて、促進剤のペースで勝手に陣痛っぽいものが身体で感じられて、そのうちにそれに陣痛が乗ってくる、ってものだし。
いやー、人生初陣痛だから「これが陣痛」だと認識されたけど、でも、3日目(促進剤1日目)は、促進剤のために痛いだけで、陣痛がやってこなかった。その状況・・・気が狂うかと思いました。

っていうか、気が狂ってもいいくらいの痛みとかもろもろの感覚、なのに、狂わせてくれない、っていうのが陣痛なんだな、と。

私の経験した陣痛は、常に意識がはっきりしていて、頭の中は普通に冷静でいつも通り、なのにひとことも言葉にすることができないような痛みと促進剤の効きのスピードへの恐怖、帝王切開にしてくれずに促進剤量を上げていく医者への苛立ち、ゴール時間がわからない苦しさ、そして何と言っても「痛い」という日本語の持つ意味やニュアンスでは到底表しきれないこの痛みとともにある、ものすごくいやな感覚を刺激する神経をガツンとつかまれて好きにされているような(感覚は全然違うけど、虫歯治療のキーンとなる感じのようないやな感覚を刺激する神経の、1万倍くらいなのが、痛みとともにやってくる)のが、来る、来る、来る、キターーーって来まくるイヤさ。
そんなのが混ざった感じでした。

ひとまず無事に出産は終わりましたが、出産時に鉗子を使ったから(だと私は思っている)なのか、私の直腸まで裂けたりしたため、数時間後に急遽私の外科手術となりました。
出産時にはたまにあることみたいだけど、とはいえノーマルケースではないっすよね。
全身麻酔ですぐに寝てしまったので、すごく気持ちよく眠っているところを大勢から名前を呼ばれて、「『うるさいな寝てるんだよ!』と起こされたら終わってた」というような感じでした。

手術後、たくさんの管に繋がれてました。
術後8日後くらいまで首にチューブを通していて、点滴で食事と水分を摂取。

なので、飲まず食わずで過ごすことに・・・。出産した日は、昼ころから、「夕方5時になったら帝王切開にするから(最初からそうしてくれと言っていたのに、5時になっても何もしなかったし、結局8時に生まれることになったよな!といまだに怒りがこみ上げる)」と言われたため、水を飲んじゃいけない、と言われて・・・だから、出産前から飲まず食わずだったんです。
出産終わったら食べるものリストを作ってたのに、またおあずけで。

その後長く入院しましたが、パンに味噌汁は普通でした。

写真は、出産の日の朝ごはん。
食パン2枚とマーマレード、味噌汁とも言えない味噌汁、ジャガイモとコンビーフ、ただの野菜のざく切り、牛乳。
前日の促進剤中に低血糖になったので全部食べろと言われ、美味しくいただいちゃいました。
まさかこれが、人生で一度きりの絶食期間前最後の晩餐になるなんて!

初めての入院、こっそり夜中にチョコレートとか食べよう、と楽しみにしてたのに、意外に長引くことになったし、チョコをコソ食いするどころか、水すら飲めなくなるなんて!
人生には、少し前には想像すらしていなかったことが起こるもんだなあと。

まあ、だいたい自分に子どもがいるっていうことを具体的に考えたこともなかったし、万が一生むことになっても絶対に無痛にすると思っていたのに。
気づくと、めっちゃいろんな痛さを味わっての一児の母、らしいです。
どうなってんだ?

毎日子どもに触れることで、少しずつかわいいなと思うようになってきたけど、こんな小さいのに私に全身をゆだねちゃって大丈夫なのあなた? いやいやダメでしょう、ていうかあなた私の子どもなの? どういうことかしら? と、自分のフィーリングとは別の現実が押し寄せてくるばかりで、見るもの聞くものすべてが自分事じゃない感じです、まだ。
いつか、皮膚感覚と現実が合うときがくるのかなあ?

なーんてことをぼんやり思っていたのですが、当時の隣のベッドの方が、ユーチューブか何かでお気に入りの、多分アイドルグループのライブか何かを見ていて、音漏れしてるし、一緒に歌ってる声まで聞こえて、手拍子とか振りとかやってるのが伝わってきたりしてました。
そんな秋の夕暮れでした。

ABOUT ME
hasegawahitomi
ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。