2013-14シーズン

ソチ五輪前、2013年の全日本選手権は、こんな大会でした。 #フィギュアスケート

ソチ五輪の代表選考大会でもあった2013年の全日本選手権のことを、思い出しておこうと思います。

日時、会場など

2013年12月20日~23日に、さいたまスーパーアリーナで開催されました。
ので、大変たくさんの皆さまが、会場で観戦できた大会でもありました。

 ▶全日本選手権2013の結果は、こちら

脱線しますが、13-14シーズンのGPファイナルとワールドについても少し。


ちなみにこのシーズン、この2週間前のGPファイナルが福岡で、そして年が明けて3月の世界選手権が同じくさいたまスーパーアリーナで開かれたので、いろいろ思い出が混乱したりしています。

GPファイナルとJr.GPファイナル2013@福岡の思い出は、こちら
日本スケート連盟のサイトですが、当時の写真がいろいろ。1枚1枚それぞれ楽しい。

GPファイナル、JrGPファイナル2013のリザルト

▶また、世界選手権2014@さいたまの思い出は、こちらで振り返られます。同じく、楽しい。
最終日のお写真1枚目には、樋口新葉選手。そうだ、エキシビで、ノービス時代の新葉選手が滑ったんでした。全日本ノービス優勝したシーズンです。このワールドのエキシビでは、プログラムまだ中盤のスピンの途中で曲がとまってしまった、でも無音のなか滑りとおしたときですね。見返してみると、今と同じ笑顔。ああ、懐かしい。
新葉選手はこのシーズン、NHK杯でもエキシビで滑っていました。

世界選手権2014@さいたまリザルト

男子シングル

フリー最終グループの滑走順

#19 羽生
#20 宇野
#21 織田
#22 髙橋
#23 町田
#24 小塚

総合順位

以下、総合順位. 名前(当時の年齢)(SP順位、FS順位) SP曲/FS曲と、
記憶のとっかかりになるかもしれないメモを添えておきます。

1位:羽生結弦(19歳)(SP1,FS1) SP「パリの散歩道」/FS「ロミオとジュリエット」(ニーノ・ロータ)
シニア4年目、カナダに拠点を変えてから2季目のシーズンでした。2週間前のGPファイナルで、SP歴代最高の99.87点。もうすぐ100点ですねと思っていたら、国内大会ではありますが全日本でSP103.10点。とうとう100点を超えましたという深い感慨。さらにソチ五輪では101.45点でまたまたSP最高点を更新しました。3月には、世界選手権でも優勝。GPファイナル、五輪、世界選手権という大きな大会を制覇、のものすごいシーズンでした。

2位:町田樹(23歳)(SP2,FS2) SP「エデンの東」/FS「火の鳥」
本気というもののすごさを見せられた、町田さんのシニア5年目、13-14シーズン。前12-13シーズンは、前半はよかったのに全日本から失速して悔しい思いをしています。そのため(?)、このシーズン後には一時坊主頭にも。そうやって臨んだ13-14シーズンは、常に崖っぷちの気持ちで、本気の本気を出して勝ち続け、GPファイナルでも4位。こうした13-14シーズンのすごいすべてを自信にして臨んだ全日本でしたね。すごかったです。凄まじかった。この後彼はソチ五輪で5位になり、世界選手権では2位とメダリストになるのです。いまや、そうしたことをさらりと成し遂げたかに私の記憶はすり替わっていましたが、いえいえ、彼はぎりっぎりのところで踏みとどまり続けていたんですよね。思い出しました。全日本選手権は、この2013年が初の表彰台でしたし。本気出すって、覚悟を決めるって、すごいな、と今でもこのシーズンの彼を思いだすときに感じます。

3位:小塚崇彦(24歳)(SP3,FS4) SP「アンスクエア・ダンス」/FS「序奏とロンド・カプリチオーソ」
SP「アンスクエアダンス」は7/8拍子でちょっと難しいんですが、シーズン序盤にあっという間にファンのみなさんは手拍子をマスター。試合会場では、ここぞとばかりにまったく乱れぬ手拍子を披露し気持ちよくなる、という楽しみもあるプログラムでした。なつかしー! 2011年に世界2位のあと燃え尽き症候群で、という時期から戻ってきたのだけど、その後の彼は、先天性の怪我などがあり、それでも毎年全日本には合わせる、という素晴らしさを見せてきました。ソチ五輪代表はならなかったけれど、年明けには四大陸で2番になり、8級に合格(必要のない4回転もきれいに成功させた)し、補欠から出場となった世界選手権で6番になって……さすがでした。

4位:織田信成(26歳)(SP5,FS3) SP「コットンクラブ」/FS「ウィリアム・テル序曲」
2週間前のGPファイナルに、補欠から出場し3位になりました。バンクーバー五輪後、いくつかの怪我で思うような時期を過ごせなかったと思いますが、それでも13-14シーズンに元気なスケートを見せてくれて、特に私はこのシーズンのフリー「ウィリアム・テル序曲」がとても好きでした。ソチ五輪出場はかなわず、翌日のMOIで引退発表。四大陸選手権は、後進の活躍の場に、と辞退します。試合の演技前「おだくーーーーーん」とよく通る声で応援しつづけたファンの方のことも、時々懐かしく思い出します。

5位:髙橋大輔(27歳)(SP4,FS5) SP「バイオリンのためのソナチネ」/FS「ビートルズメドレー」
バンクーバー五輪3位、そのシーズンの世界選手権優勝を経て、現役を続けるかなど迷った時期もありました。そして12-13シーズンのGPファイナル優勝、そして13-14シーズン、GPファイナル進出を決めたものの怪我で欠場。そして全日本。ソチ五輪がシングル選手としてひとまず最後の大会になりました。(その後は皆さまご存知のとおり、復帰して、その後アイスダンスに転向して現在、です)

6位:無良崇人(22歳)(SP8,FS6) SP「ミニー・ザ・ムーチャー」、「ジャンピンジャック」/FS「スパルタカスⅡ」(テレビドラマ)、「マン・オブ・スティール」
このシーズン、ソチ五輪代表3枠に対して、有力候補者が6人いました。それがここに挙げた6人です。無良さんは、前シーズン世界選手権8位で臨んだシーズンでした。がしかし、全日本ではSPでジャンプを2ミス。ドキドキしました。年明け1月の四大陸は、織田さんの辞退によって補欠からの出場になった無良さんが優勝。そしてさらに4年、頑張り続けます。

▶男子SP結果SPプロトコルFS結果FSプロトコル最終結果

2021年全日本選手権に出場する選手たち

5位(SP4,FS5)……髙橋大輔(27歳)
7位(SP6,FS7) …… 宇野昌磨(16歳)
8位(SP7,FS10) …… 田中刑事(19歳)
14位(SP11,FS19) …… 山本草太(13歳)
20位(SP20,FS17) …… 友野一希(15歳)

女子シングル

フリー最終グループの滑走順

#19 宮原
#20 鈴木
#21 安藤
#22 今井
#23 村上
#24 浅田

総合順位

1位:鈴木明子(28歳)(SP2,FS1) SP「愛の讃歌」/FS「オペラ座の怪人」
ラストシーズンと決めて臨んだ13-14シーズンでした。全日本は、13回目の出場で初優勝。素晴らしいという意味で年齢も取り上げますが、女子シングルで28歳での全日本優勝は史上最高齢でした。繰り返しますが、素晴らしいです。2度目の五輪となったソチのあと、3月には世界選手権で6位(フリー前日に29歳になりました)で引退しました。織田さんによくマネされた「オペラ座の怪人」を滑ったシーズンで、お衣装も素敵なのをいくつも披露。SP「愛の讃歌」は見ているもののハートをぐっとつかみ涙腺を刺激するプログラムでした。

2位:村上佳菜子(19歳)(SP3位、FS2) SP「バイオリン・ミューズ」/FS「愛のイエントル」
シニア4季目で、2013年世界選手権は4位だった佳菜子さん。13-14シーズン序盤は思うような演技ができず苦しみます。苦しそうでした。2季前の「バイオリン・ミューズ」に戻して全日本へ。そして、決めました。SPの時のきゅっと引き締まった表情を、覚えています。

3.浅田真央(23歳)(SP1,FS3) SP「ノクターン」/FS「ピアノ協奏曲第2番」(ラフマニノフ)
バンクーバー五輪2位から4季目です。とうとうこのシーズンがやってきました。バンクーバーのあと、佐藤信夫先生のもとに移り、スケーティングやジャンプなどすべてを基礎から学びなおし、12-13シーズンにそれが嚙み合ってきて……2度目の五輪シーズンを迎えました。GP2勝、GPファイナル優勝で臨んだ全日本では、SPにもフリーにもトリプルアクセルを入れました。ソチ五輪のことは、皆さんすべてを覚えていると思います。私は今もまだ、あの演技を頭で思い浮かべるだけで緩んでしまう涙腺を抑える方法をみつけられていません。3月の世界選手権では優勝し、メダルを信夫先生にかけてあげていました。再び涙。

4.宮原知子(15歳)(SP4,FS5) SP「メリークリスマス・ミスターローレンス」/FS「ポエタ」
シニアデビューシーズンでした。翌年から全日本4連覇していくんですよね。なんとなく世の中的にも、女子の3人は名古屋の3人だよね的なムードがあったのですが、そんななか、知子さんはちゃんと自分の中で五輪というものも見据えていたそうです。

5.今井遥(20歳)(SP6,FS4) SP「無言歌 ニ長調 作品109」/FS「恋人たちの夢」
アメリカを拠点にしていたけど、このシーズンから日本に戻ってきていました。このあと4CCで4位になります。このシーズン後の2014年から新潟に拠点を移しました。2018年に引退。

6.本郷理華(17歳)(SP7,FS6) SP「ドン・キホーテ」/FS「ミス・サイゴン」
ジュニア最後のシーズン。全日本ジュニアチャンピオンになっての出場でした。ものすごい勢いとパワーでぐいぐい見せました。

 ▶ちなみに、13-14シーズンの全日本ジュニア選手権のリザルトはこちら
1位本郷、2位三原、3位松田悠良、4位木原万莉子、5位は本田真凜、6位坂本花織、7位加藤利緒菜、8位樋口新葉……と2021年現在シニアトップの皆さんの名前がずらり。
男子も、1位刑事、2位宇野、3位日野龍樹、4位本田太一、5位草太、6位友野……という顔ぶれです。

安藤美姫(25歳)7位(SP5,FS9) 2011年世界選手権優勝後に競技から離れていた安藤さん、このシーズンに復帰して、関東ブロック、東日本と勝ち上がって全日本へ。コーチは、マッテオ・リッツォのお父さんのバルテル・リッツォでした。全日本のフリー「My Way」素敵でした。今改めて思うのですが、出産から半年たたない時期にネーベルホルン杯で2位って、やっぱり相当すごいです。

▶女子SP結果SPプロトコルFS結果FSプロトコル最終結果

2021年全日本選手権に出場する選手たち

4位(SP4,FS5)……宮原知子(15歳)
10位(SP10,FS13) …… 大庭雅選手(18歳)
12位(SP20,FS8) …… 三原舞依選手(14歳)
15位(SP9,FS16) …… 坂本花織選手(13歳)
17位(SP16,FS17) …… 村元哉中選手(20歳)

ペア

総合順位


1位:髙橋成美(21歳)&木原龍一(21歳)(SP1,FS1) SP「サムソンとデリラ」/FD「レ・ミゼラブル」
ペアは1組だけでした。2013年1月の木原選手のシングル選手としての国体終了を待ってスタートした髙橋&木原組。このペアとしてソチ五輪の団体戦、個人戦にも出場。翌14-15シーズンまでの2季がんばりました。

▶ペアSP結果SPプロトコルFS結果FSプロトコル最終結果

2021年全日本選手権に出場する選手たち

木原選手が出場予定でしたが、新型コロナウイルスのオミクロン株の影響のため、欠場となりました。日本からカナダに戻れない可能性、コーチと長期間離れて練習しなければならないことなどを考量したため。

アイスダンス

4組出場。

総合順位

1位:キャシー・リード(26歳)&クリス・リード(24歳) SD「踊るリッツの夜」「ハーレム・ノクターン」/FD:「トータルウォー:ショーグン2」「地獄少女 三鼎」
前季世界選手権で五輪枠を獲得できなかったため、2013年ネーベルホルン杯に出場し、枠をとってきました。と簡単に1行で語っていますが、そこにはクリスが怪我の苦しみと戦い、しかもキャシーには怪我の全容を明かさずに過ごした、ということがありました。詳しくは、以下でお読みいただけます。お話を聞いていて、泣きそうでした。
 ▶姉&弟のアイスダンス日本代表リード組 ケガ乗り越え、五輪へ「100%集中!」(スポーツナビ)

2位:平井絵己(27歳)&マリオン・デ・ラ・アソンション(24歳)(SD2,FD2) SD「Love Bug」「Creep」/FD「007スカイフォール」「007ゴールデンアイ」「ジェームス・ボンドのテーマ」

アイスダンスは毎年リード姉弟と平井&アソンション組がきれいな滑りを見せてくれて、いつもどこかで安心した気持ちでいました。平井さんたちは衣装も素敵でした。この時代はまだアイスダンスは3つ滑っていましたね。コンパルソリーダンス、オリジナルダンス、フリーダンス。もっと前は、コンパルソリーダンスも2つあったので、アイスダンスの演技をたくさん見られて嬉しかったです。

▶アイスダンスCD結果CDプロトコルOD結果ODプロトコルFD結果FDプロトコル最終結果

関連サイトを、もう一度。

2013-14シーズンの全日本選手権の、リザルトページはこちらです。といっても、全日本にぴったりリンクが貼れないので、出てきた表から12月の全日本選手権を探して、見てみてください。

2013年の全日本選手権は、男子シングルの五輪代表獲得争いがもっとも過酷だった印象ですし、振り返ってみた今も、それは変わりません。2005年くらいからがんばってきた髙橋選手、織田さんたちはそろそろ最後の全日本かなという雰囲気でなんとなくこちらも心の準備をしていたし、実際に2人ともそうなりました(髙橋選手はその後さらなる激動の時期をすごすのですが)。
そして、羽生選手、宇野選手ら新しい世代が確実に台頭してきているのも感じました。

女子は、多分この3人で決まるだろうとは思っていたけれど全日本はやっぱりどきどきするよね、という気持ちで臨み、実際にその3人(明子、佳菜子、真央)で決定。3人がみな嬉しそうだったのが印象的です。実はここで4位だった宮原選手も悔しい思いをしていたんですよね、それが翌季全日本優勝、世界選手権いきなり2位に繋がっていきます。

時が経ってから振り返ることで、当時は見えなかったことが見えてきたりします。当時は知りえなかったけれどその後いろいろ得たさまざまな情報とともにある今の位置からだと、当時の結果がさまざまに見えてくると思います。

ABOUT ME
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ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。