フィギュアスケート

「競技としてのパターンダンス」や「全日本レベルの選手たちの演技」も見られるクリス・リード杯 ◆「クリスへの思い」と「アイスダンス愛」に満ちた大会になりそうな予感。

9月23日(祝・金)、第1回クリス・リード杯が開催されます。まもなくですね!

エントリーは73組(2カテゴリーに出場する選手は2とカウント)。実行委員会の予想を大幅に上回る数だそうです。
31個に細かく分けられたカテゴリーの内、23カテゴリーが実施されます

ここまでの半年ほど、約20名のボランティアの皆さんとの打ち合わせに私も参加し、クリス・リード杯が作り上げられている様子を垣間見させていただきました。
実行委員会の方にお話をうかがって書いた以前の記事は、こちら(「アイスダンスの大会だけど、シングル選手も出場可能」「全日本OBと組む種目あり」「年齢制限なし」◆「第1回クリス・リード杯」のエントリーが、始まります。」)です。

 
そうやってこの半年ほど、時折クリス・リード杯に触れてきたことで、「クリス・リード杯ならではの喜びや楽しみがいくつもある」ということに気がつくようになりました。

競技で「パターンダンス」を見られる喜び

たとえば、「競技としてのパターンダンス」を見られる、ということ。
 
かつて、アイスダンスには「コンパルソリーダンス(その後のパターンダンス)」があって、アイスダンスの競技は、コンパルソリーダンス、オリジナルダンス、フリーダンスの3つで構成されていました。
 
コンパルソリーダンス。
それは、さまざまなステップの組み込まれた美しいダンスが、バリエーション豊かに繰り広げられるもの。
「ああ、アイスダンスって美しい」とうっとりしたり、「今度はこんな激しいものも見せるんですか」と驚かされたり……、アイスダンスの醍醐味のようなものがコンパルソリーダンスにはあったと感じたりもします。
 
競技ルールがさまざまに変更されたことで、今はコンパルソリーダンス(パターンダンス)を単体で、競技で見ることはなくなりました。
とはいえ、コンパルソリーダンスというのは、アイスダンスの基本中の基本。アイスダンスの選手は皆、幼いころからいろいろなコンパルソリーダンスを練習し、それを基盤に、国際大会に出場するような技術や精神を養ってきたのです。
 
そのコンパルソリーダンス、つまりパターンダンスを競技会で再び見られるのは、この大会の大きな魅力のひとつだと感じますし、出場する皆さんの「アイスダンス愛」も、パターンダンスで見られるかもしれないと期待しています。

複数の全日本レベルの選手たちの演技を見られる喜び

2つ目の楽しみは、全日本レベルの選手たちも滑ること
 
今回のカテゴリーのなかで、 C1、C2、C3のカテゴリーには、全日本ノービス選手権や全日本ジュニア選手権で活躍する選手たちもエントリーしています。
彼らがこの時期にクリス・リード杯に出場するということはつまり、試合勘を養ったり評価を受けたりすることで、今シーズンのより大きな大会へのステップとなる大会と認識しているからでしょう。

実は、実行委員会がクリス・リード杯を9月に設定したのにも、アイスダンスの現役選手たちへの思いがありました。
全日本選手権にむけたシーズンの流れのなか、シングルの選手たちは、各地のブロック大会、東日本/西日本大会というステップがあります。ですが、アイスダンスにはブロック大会がなく、いきなり東日本/西日本大会になるのです。

サッカーや野球などと比べてみると(やや荒い比較ですが)、フィギュアスケートの選手たちには、年間通してそんなに多くの試合数がありません。さらにアイスダンスの選手たちにはブロックもないとなると、演技の評価を受けてブラッシュアップさせる機会が少ないというのが現状です
アイスダンスの現役選手たちに、ブラッシュアップの機会を1つでも増やしてあげたいという実行委員会の皆さんの思いも、この大会の裏側にはあるのですね。

「アイスダンスを、日本でより普及させたい」というクリスの志が、またひとつ、形になってきていることを感じます。

「全日本OBと即興で組むカテゴリー」の楽しみ 


全日本 OB シャッフルクラスがあることも、クリス・リード杯の楽しみに挙げられます。
 
このカテゴリーでは、過去に全日本選手権に出場したOBたちが、「愛好家の皆さん」や「パートナーをみつける足がかりにしたいと考える選手」がカップルを組んで出場します。

しかも、「シャッフルクラス」という名前のとおり、出場者とOBとの組み合わせは、抽選。しかも、抽選の発表は競技の10分前。
出場者たちには事前に模範演技の動画が共有されており、それを見て練習して本番に臨むのですが、とはいえ、「いきなり組むことができるのですね」といまだに驚いているので、それを観戦するのも楽しみです。

以前の記事でも書きましたが、今回全日本OBとして出場するアイスダンサーのほとんどが、クリスに、リフトやスピンを教えてもらった経験があり、「クリスのためなら」と今大会に駆けつけるのだそう。クリスへの、アイスダンスへの思いがじんわりと伝わってきます。
  
ちなみに、日本ではあまりない「ソロダンス」のカテゴリーですが、今回20人がエントリーしています。パートナーを探している方や、シングルとして練習しているけれど、今回はルールに則ったプログラムを用意して出場する方がいらっしゃるようです。

バーチャルジャッジングシステムでの大会運営


コロナ禍の影響で、今回は無観客での開催となりました。
結果は、10月2日に、クリス・リード杯のサイトで発表されます。
 
結果が、大会から約1週後の10月2日なのは、今大会は、オンラインでのバーチャルジャッジングシステムで採点することと関係しています。
 
コロナ禍であることもあり、大会当日は、レフリー1名だけが来場。
その他のテクニカルパネルの皆さん(テクニカルスペシャリストなど)やジャッジの皆さんは、複数のビデオカメラで録画された演技をオンラインで見て採点
します。
そうやって採点されたものが、10月2日に発表されるのです。
 
また同日には、「ジャッジたちによる オンライン フィードバック」も行われるので、選手の皆さんにとっても愛好家の皆さんにとっても、貴重な時間になりそうです。

 クリスへの思い、そして「アイスダンス愛」で満ちた大会に……

先ほども書きましたが、アイスダンスの大会は、それほどたくさんありません。
その貴重なアイスダンスの大会に出場しフィードバックを受けることで、選手の皆さんは、今シーズンのこの先に活かすこともできます。
愛好家の皆さんにとっては、楽しみで、楽しみで、楽しみ、な大会でしょう。ですから皆さん、仕事やプライベートシングスを調整し、スケジュール管理し、コンディションを整え、練習を積み、衣装も用意して、この日に臨むのです。
出場する皆さん、練習してきたことが発揮される楽しい時間になりますように!
テクニカルパネルやジャッジ、実行委員会、ボランティアの皆さんの、これまでの準備が大きく花開く1日になることも、願っています。

アイスダンスを愛する皆さんがそれぞれ、演技のことを考え、クリスのことを思う1日。
いつか振り返った時、「第1回クリス・リード杯が、日本にアイスダンスが根づくひとつの大きな契機だったね」と言われるような大会になることも、切に願っています。

ABOUT ME
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ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。