日々

『silent』第2話までを見て、「知ってる」にノックアウトされて。

木曜劇場『silent』にすっかりはまり込んでいるので、その現在地での思いを記録しておきたいという思いで、これを書いています。
すでにかなりの人気ドラマなので、いろいろな考察があると思うのですが、そういうのをひとまずあまり見ないで、自分だけの世界で楽しむスタンスです。
そういうものは、最終回放映後に読む予定です。それも楽しみ。

さて、まず最初におおおおと思ったのは、イヤホンの使い方の巧みさでした。
「耳の聞こえる時期(=つきあっている時期)」には有線のイヤホン。そして、別々の今は、ワイヤレス。
しかもそれが、2人の再会に繋がるアイテムになっている、ってすごい。

そもそも、佐倉くんの印象は「有線イヤホンを常にしている人」であり、それでも青羽が声をかけたらいつでも「ん?」とイヤホンを外しながら振り向いてくれる。(その、イヤホンの外し方がちょっと素敵)
そんな風に2人の関係性を表すアイテムとしても使われています。

「静か」とか「うるさい」とかいうワードも気になります。
あれだけいつもイヤホンをしているってことは、彼にとっては音楽というものがとても大事であり、でも失聴したことで音楽を聴けなくなってしまった。
その様子はどんな感じなのかというと、「静かです。」という感じ。
高校時代の部活の顧問に、そう返事しています。

「静かだねー」って、第1話の冒頭、雪のシーンで使われていました。
音のない世界がどんなものかということを、視聴者へ想像させるシーンでもあるのかな。
このときの「静か」は2人で共有できる「静か」だったけど、今の佐倉くんの「静か」は、ひとりだけの「静か」だよねと想像したり。
このシーンでも使われていた「うるさい」というワードとともに、きっとこれは、このドラマの重要シーンなんだろうと思います。

そして、少し上述していますが、「うるさい」という言葉の使い方が秀逸です。
第1話の序盤部分と最後の部分で効果的に対比として使われていたのと、「silent」というタイトルとあわせて、巧い……と思っていました。そして、第1話序盤の「うるさい」は、第一話最後のあの「うるさい」に繋げるためのものだと(ある意味完結したかと)思っていました。
ところが第2話でもまた「うるさい」が出てきて、それは、耳の不調を表現するための「うるさい」として、これまでとは別の意味で使われていて、う、巧い。
しかも、こじつけ感がないのもすごいです。本当にすごい。

そして私が第2話でもっとも打たれたのは、喫茶店で2度目に会った時のやりとりです。青羽が、自己紹介手話を見せるシーン。
青羽は最初「私の名前は、青羽紬です」という手話を見せるシーンですね。

それに対して、佐倉は「知ってる(やさしい感じです)」と答えます。
手話を覚えてくれている、という思いなんかもあるのだと思います。

続いて「私の年齢は26歳です」という手話。佐倉も、「知ってる」と同じ手話で答えます。
ここは、ちょっと楽しい感じですね。知ってるよー当たり前でしょ、同級生なんだから―w的な。

さらに青羽は手話を続けます。「私の誕生日は4月28日です」。
佐倉は、「知ってる」と答えます。
青羽は手話で、「私の家族は、3人で、母と私と弟です」と。
これに対しても佐倉は「知ってる」とさっきと同じような感じで手話で答えます。

このシーンの3つ目と4つ目の「知ってる」に、私はどーんと打たれました。
「他人の中に8年経っても自分についてのなにかが残っている」ということと、それをあっさり示してくれたことへの喜び。約8年ぶりに会った昔の彼は、客観的に見れば、自分の家族のことを覚えているに決まっているけど……、一方的に振られて音信不通だった人の中にも(当たり前ではあるけど)自分の基礎情報が残っているのって、結構な喜びですよね。沁みる。
そして、そういう思いをこんな風に表現する、この脚本家さんに完全完璧にノックアウトされました。

このドラマの放送が10月~12月だというのも、このドラマのテイストととても合っていると感じます。
少しずつ寒くなっていく時期に、こういうラブストーリーのあたたかみは相乗するし。

さて、第3話はどんな感じかなあ。
それまでにあと何回か第2話を見ます。

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hasegawahitomi
ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。