日々

さくらさんの著作は、私の中にある「心の静岡人」を誇らしく感じさせてくれる。(さくらももこさん逝去の報に接して)

デニス・テンの逝去とともに衝撃的だったのが、さくらももこさんが亡くなられたことでした。どちらもまだ、自分の中で過去のことにできない、まだ理解もできていない、という感じです。

『ちびまる子ちゃん』を漫画で読んだりテレビで見たりしたし、さくらさんのエッセイも何度も読んできました。
健康法がいろいろ書かれていて、一度、友人と「飲尿健康法」を試してみる?とトライしたこともあります。
普通のコップを使う勇気(?)はなかったので、紙コップを買ってきていざ、と臨んだけれど、結局どうしても手前でオエ~ッとなってしまって、できませんでした。
なつかしいなあ。

数年前の妊娠中、いろいろな人たちの妊娠・出産・育児体験エッセイや漫画を読んだのですが、さくらさんにもそういう本があったよなあ、と思い出し、『そういうふうにできている』を再読しました。

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この本を読んだほかはここ10年くらいさくらさんの著作を読んでおらず、たまに実家の静岡に帰ると、駅前やそこここの看板や横断幕などでちびまる子ちゃんがお出迎えしてくれて、っていう感じでした。

そんな具合なのに、さくらさんが亡くなられたことに、どうしてここまで衝撃を受けているんだろう、とずっとぼんやり考えてきました。
そして気づいたのが、それは多分、静岡市ってところにつながるのかな、ってことでした。

大学進学で上京するまで、私は静岡市で過ごしました。静岡市は、色々な思い出がある大好きな街です。

静岡を離れた時期にちょうどよく読んでいたさくらさんのエッセイや『ちびまる子ちゃん』には、そこここに静岡や清水の香りが感じられました。
さくらさんの出身は清水市ですが、15年前に静岡市と合併して、今清水は静岡市清水区となっています。
でも旧静岡市も旧清水市も、基本的に同じ文化圏。
だから、さくらさんのお母さんがよしもとばななさんへのお礼に「今度お茶を送っておくよ」とものすごく静岡人っぽいコメントで締めていた、とか、家にはいつもお茶とみかんがあることとか、知らず知らずのうちに富士山をとても誇らしく思っている気持ちとか、七夕豪雨にまつわるあれこれ(まるちゃんが小学生の時に静岡を襲った豪雨。私も小さい頃からその話を聞かされていました)とかっていうエピソード1つひとつを、ものすごく親しい気持ちで読んできました。
そうやっていつの間にか、さくらさんの著作やさくらさんご本人(って存じ上げないけれど)と、私の中の「あの頃の静岡」ってものを重ねていたのかなと思います。

静岡を離れてからもうかなりの時間が経って、っていうか、静岡以外で過ごしている時間の方が長くなって、たまに静岡に帰ると、当たり前だけど、私の頭の中にある「あの頃の静岡」とは違う街がそこにあって……寂しいとかは思わないけれど、あの頃同じ道なのに全然風情が違うんだなといったようなあたり前のことを、意識下で言語化もしないでぼんやりと感じていたように思います。

でも、さくらさんの著作の中には、「あの頃の静岡」があるなあ、と。

中学時代に友人に「すごくおいしいのど飴がある」と教えられて買いに行った、パルシェ(静岡駅の駅ビル)1階の健康食品屋さん。
私が行った時期とは異なるけれど、どうやらそのお店でさくらさんがアルバイトしていたらしい、ということをエッセイを読んで知ったときの、身体全体を熱いなにかが静かにでも急速に流れた愛しさのような思い。
『ちびまる子ちゃん』に出てくる駄菓子屋さんでおでんが売られているシーンを見たときの「だよねー、静岡だもんねー」とわきあがるさくらさんへの親しみのような気持ち。
私の中の「あの頃の静岡」の拠り所のようなものが、さくらさんの著作だったのかな、と今、思っています。

それがもう見られなくなってしまったこと。
だからこそ、こんなに衝撃というか喪失感のようなものをおぼえているのだと思います。

普段は忘れているけれど、「富士山は静岡のものだ」と山梨の人と言い合うとき、「みかんと言えば静岡なんだよ」と今度は愛媛の人と絡むとき(長いこと、生産量1位は和歌山、2位愛媛、3位静岡です。なんだかくやしい!)、「生じらすと生さくらえびは時期があるからねー、なかなか食べられないよねー」とクールに言うとき、「カズさんは超地元出身だし、武田や澤登は高校サッカーの頃から見てるよ」ってなんてことない顔して話すとき、そして、『ちびまる子ちゃん』を目にしたとき、本当に静岡人であることを誇らしく思います。
って、住民票も静岡にないので、「心の静岡人」であることを誇りに思っている、ということになりますね。

自分の中の静岡愛というか静岡熱みたいなものを、共有できたのが、さくらさんの著作だったんだな、と思います。
だから、本当にとても寂しい。
ご冥福をお祈りいたします。

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hasegawahitomi
ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。