2022北京オリンピック

五輪の団体戦! 平昌でのカナダの戦略。北京はどうなるのか。 #フィギュアスケート

2月4日(金)、開会式を待たずに、団体戦初日がスタートします。あー楽しみですね。
ということで、団体戦についてのいろいろページです。

団体戦では、まずSPとRDを1人(組)ずつが滑り、その順位をポイント化し、4カテ分の和の大きい順に上位5か国までが、フリーに進めます。

なので、フリーまで進むことを念頭に置くと、男女ペアのSPとFS、アイスダンスのRDとFDの計8回競技があります。

SP(RD)を滑った2人と2組(を、「4スポット」と言いましょう)のうち、2スポット分のみ、フリーで滑る人を変えることができます。ポイントは、変えなくてもいい、というところです。

ですが私は平昌五輪まで、「変えなくてもいい」ということがポイントだと気づいていませんでした。平昌五輪のカナダチームに、教えられました。

ソチ五輪と平昌五輪の団体戦で見えたこと

五輪の団体戦は、ソチ五輪から始まりました。

以下の表は、選手名の、上段がSP(SD)、下段がFS(FD)を滑った選手名。1人(組)しか名前がないのは、その人(組)がSP(SD)とFS(FD)の両方を滑ったということになります。

ソチ五輪の団体戦

表の右端の「6」は、「6スポット使った」という意味です。
ソチ五輪では、5か国とも「6スポット」使っています。

ソチ五輪のリザルトは、こちら

ちなみに、団体戦直後は、ペアでした。
団体戦のペアのうち、ロシアとカナダは2組で、残り3か国は1組で戦っています。体力的に望ましいのは、団体戦のペアは2組がでること、ですよね。

では、なぜ残り3か国は、1組で戦ったのでしょうか。

日本はペア1組しかなかったので成美&木原がSPとFSを滑らなければならなかったので、選択しナシです。
アメリカとイタリアは2枠ありました。それなのに、キャステリ&シュナピアとベルトン&ホタレクが団体戦で2つ滑ったのは、多分自国のもう1組との実力差かな、と想像されます。

平昌五輪の団体戦

平昌になると、なんとカナダとイタリアが、「5スポットで戦う」という新しい戦略を出してきました!

イタリアは、男女シングルが1枠ずつで、カップル競技が2枠ずつ。
でも、団体戦のアイスダンスは、カペラノ一択!

これは、銅メダルを狙った選択だったのだろうと思います(私の想像)。
というのは、最終結果の3位アメリカは62ポイント、4位イタリアは56ポイント……から逆算すると、アイスダンスの順位、女子の順位などが入れ替わったりしていたら、イタリアは銅メダルに届いたかもしれない計算になるからです。

平昌五輪のリザルトは、こちら

さて、ここで平昌五輪団体戦の本丸・カナダです!

平昌五輪の男子後のパトリックにインタビューした時に、「カナダは、2017年の世界選手権が終わったときにチームメイトで話をして、平昌の団体戦で金を取ろうと狙ってきた」と聞きました。それを聞きながら私は、そうなのか、それでこういう作戦にしたんですね! と、心地いい衝撃を受けました。

パトリックのインタビューは、こちらで詳しく読めます。

平昌五輪の団体戦。カナダの戦略

その後、ラッドフォードがペアの個人戦フリー後の会見で話した内容とか、昨年メーガン・デュハメルにこのあたりを詳しくインタビューしたことなどをまとめると……多分こんな感じだったのだと思います。

スコット・モイアをはじめとするカナダチームメンバーたちの、「どうしてもパトリックに五輪の金メダルを取らせたい」という思いなどから、2017年のヘルシンキワールドで、パトリック、テッサ、スコット、メーガン、エリック、オズモンド、デールマンが集まって、「平昌五輪の団体戦で金を取ろう、そのために今から備えよう」、そして「団体戦で優勝するためには、4カテゴリーすべてで、カナダのトップが出ないと難しいかも」という結論になった、と。

その面々はその後連絡を取り合い、互いに「がんばってる?」とか励ましあった。スコットとメーガンは当時モントリオールにいたので、たまにあって、カフェでこの話をしたりした。

スコットの気がかりは、団体戦の直後にペアの個人戦があること。メーガン・デュハメル&エリック・ラッドフォードはメダルを狙っている。五輪時点で32歳と33歳になっている。
体力的に、相当きつい状況になります。メーガンは、スコットから「(個人戦に影響しちゃうかもしれないけど)団体戦に2つ出ると決めて、本当にいいのか?」と何度も聞かれたと言います。

そのたびに「大丈夫、そのために準備をしておくから」と強気で臨んだというデュハ&ラド。1週間で4つの演技をする必要(しかも団体戦&個人戦両方でメダルを狙う)があるので、綿密な戦略を立てたそうです。

そんなところでしょうか。団体戦最初の男子ショートで、パトリックが2度ジャンプで転倒してがっかりしてしまったけどみんなで励ました、とか、いろいろなことがあったようです。

その他、ウィーバー&ポジェへの思い、団体戦に出ないのに応援に来てくれていたカナダチーム全員などへの思い、4つの演技を全力で見せるための戦略……などについては、以下の本に詳しく掲載されています。

ソチ五輪のときには、どの国も、「団体戦、6スポット全部みんなで出ようぜ!」みたいな雰囲気だったと思います。でも平昌のカナダの優勝によって、「6スポット全部使わず、戦略的に戦う重要さ」に、皆、気づいたのではないでしょうか。私は、目からうろこの思いでした。

ということで、北京五輪はどうなるか、とても楽しみです。

さて、北京五輪の団体戦は?

ということで、今回の団体戦についてです。

10か国はどう決められたか。

団体戦の10か国の決定方法は、こちらの9ページにあります。

簡単にまとめると、2021年の世界選手権、ユーロ、四大陸、世界ジュニア選手権、今季のGPファイナル、GPシリーズ、JrGPシリーズの各大会の順位をポイント化して、その和の大きい順、ということです。

とはいえ昨季も今期もいろいろな大会が中止になったので、結果、今回の北京五輪の団体戦は、2021年世界選手権、今季GPとJrGpの各大会の結果で決まりました

出場する10か国。

ポイント上位から、

ロシア(今大会は、ROC<Russian Olympic Committee>表記)
アメリカ
カナダ
日本
中国
イタリア
ドイツ
ジョージア
チェコ
ウクライナ

となります。

うち、イタリア、ドイツ、ウクライナは、個人戦の方で1カテゴリー枠を持っていません。

団体戦では、個人戦の3つのカテゴリーで代表枠がある国が出場できます。1つ足りないカテゴリーには、個人戦には出ないけれど、五輪のミニマムスコアをクリアした選手たちが出場します。
今回、個人戦の枠がないのは、イタリアの女子、ドイツの男子、ウクライナのペアです。この3枠は、個人戦には出ない選手たちが出場します。

団体戦を見るといつも思うのは、「4つのカテゴリー全部で世界的に上位の人たちが揃う、っていうのは、なかなかに難しいことなんだな」ということ。
その4つが揃う国に、日本も入るようになってきました。嬉しいですね。

北京五輪の団体戦に出るかもしれない人たちのリスト

ということで、個人戦の枠を持っていないけど団体戦に出るのは、ドイツの男子は、ポール・フェンツ。イタリアの女子は、ララ・ナキ・グットマン。ウクライナペアは、Sofiia HOLICHENKO&Artem DARENSKYI

とりあえず団体戦に出るかもしれない全選手のエントリーが出ましたので、以下の表を作りました。
(表が2つに分かれているのには、特に意味はありません。私の技術的な問題ゆえです)

北京五輪の団体戦のエントリー

団体戦は、まだ、どこに誰が出るかわかっていません。もちろん、1枠の人たちは出ることが決まっていますが、2枠以上持っている国は、作戦もあるので(なんですよね?)。

なので、エントリーのスケジュールも決まっています。少し前の情報ですが、この10ページにも。

団体戦のエントリー〆切日程(北京時間)

  • 2月3日(木)10:00 男子SP、RD、ペアSPのエントリー
  • 2月5日(土)10:00 女子SPのエントリー
  • 2月6日(日)11:00 男子FSのエントリー(団体戦の女子SPが終わってすぐです。男子FSはエントリー後すぐ試合)
  • 2月6日(日)13:45 ペアFS、FD、女子FSのエントリー

このスケジュールをじっと見つめつづけると、上記の日程などが見えてきます。

コロナ禍なので

今回はコロナ禍なので、エントリー後に感染が分かった時……などの条件も出ています。

団体戦のSP(RD)の抽選後に判明した感染者は、交代が認められない。残る3カテゴリーで出場できそうなら、その国はそのまま団体戦を続けられます。(といっても、団体戦のSPには抽選はない・・・滑走順は世界ランキングの逆順。ということは、SP(RD)のエントリーをしたのちに感染した場合……ということになりますね)

誰が滑るのか、を想像するたのしみ

ということで、個人戦の各代表の名前を眺めながら、いろいろ妄想を深める楽しみがあります。

たとえば……

・団体戦直後は、個人戦男子シングル。ということは、男子で2枠以上持っている国は、団体戦の男子SPとFSを別選手にしてくるのでは?

・となると、フリーに進みそうな国のうち男子1枠の、中国のボーヤン・ジンが、体力的に厳しい五輪を過ごすことになりそうです! ボーヤン、母国開催だし、がんばれ!!

・ロシア(ROC)は男子は3枠あるので、きっと団体で2人出すのでは(2スポット使用)?
日程的に、男子の次はアイスダンス。団体戦にはフランスがいないので、シニカツは団体戦のアイスダンスはでトップの可能性あり。でもでも、シニカツって26歳と30歳。お若いとはいえないので、ステブキとRD、FDで分けるかな。
となると、残る女子とペアが1スポットずつですか。
てことは、女子はSP、FSとも安定しているワリエワさんでしょうか。
ペアは、やっぱりそう考えるとミシ&ガリですか。

・今回、コロナ禍なので、期間中途中で出国とかできそうもないですよね。
となると、団体戦に出たペアのみなさんはその後ずーっと自分たちの競技までの10日ほど、北京の選手村とリンクのバブルの中で過ごすことになる? それは結構きついのでは?
ということは、個人戦の話になるけれど、個人戦のペアは、ロシアより中国の方が有利か?

・ということで、「ロシアの男子SPはこの人がすべって、男子FSはこの人、女子はSPもFSもワリエワ(予想)で」……という楽しい予想を10か国分行い、点数を出し、ポイントを出し……とメダル予想するのが楽しいのが、団体戦だなーと思います。個人戦では、メダル予想とかしないのに。

この楽しみもあと数日。ぜひ皆さんにも堪能していただきたいです!

ABOUT ME
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ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。