ある視点から⛸

五輪の代表権争いは、いつだって、熾烈で切ないもの。 #スペイン #アイスダンス

ウルタドとディアス

この週末、気になっていたのは、スペインのアイスダンスの結果でした。
五輪代表争いがとてもドラマティックだからです。

現在、スペインには2組の世界レベルのアイスダンスチームがいます。
サラ・ウルタド&キリル・ハリャヴィン
オリヴィア・スマート&アドリアン・ディアス の2組です。
わかりやすいように、色分けしておきます。

もともとはウルタドディアスがカップルを組んで、ソチ五輪に出場したりしていましたが、2015年10月にチームを解消。当時、ものすごく驚きました。これからのチームだったから残念だったし。

しかしそこから2人は、それぞれ別々のパートナーとアイスダンスを続けました。よかった!

まず、ウルタドの方
新しくパートナーになったハリャビンは、ロシア選手で、以前のパートナーと世界選手権8位になったこともあります(モンコ&ハリャビン組。モンコは怪我のために引退)。

対して、ディアスの方は、イギリス選手のスマートと組みます。彼女も以前はほかのパートナーと組んでいました(スマート&バックランド組)。

そして2組とも、スペイン代表として滑ることを決め、ものすごーーーく成績の拮抗した数年を送ってきました。

この2組のここ数年の成績(ざっくり)

この2組がどのくらい拮抗してきたのか、表にしてみました。

成績だけでの確認ですが、拮抗していますね。

2017-18シーズン

この表、少し丁寧に見てみます。

まず、4年前の平昌五輪シーズン(2017-18)
ゴールデンスピンとスペイン選手権の総合得点を足した点数が高い方がユーロと五輪へ、低い方が世界選手権へ、という選考方法でした。結果は、

ウルタド&ハリャビン組 ゴールデンスピン(163.58点/4位)、スペイン選手権(164.54/2位)
スマート&ディアス組  ゴールデンスピン(159.40点/5位)、スペイン選手権(167.77点/1位)

ウルタド&ハリャビン組は328.12点スマート&ディアス組は327.17点
差は、0.95点ではありますが、そして、なんとなくスペイン選手権で優勝したチーム(スマート組)を有力視してしまいますが、選考基準通り、マウルタド&ハリャビン組がユーロと五輪へスマート&ディアス組が世界選手権へとなりました。繰り返しますが、0.95点差です。僅差オブ僅差!

2019-20シーズン

2019-20シーズンには世界選手権が中止になりますが、このときは スマート&ディアス組 が出場予定でした……。

2020-21シーズン

コロナ禍だった昨2020-21シーズンはスペイン選手権がなかったので、世界選手権代表は、この2組がリモートで演技披露して連盟が決断する、という方法をとっています。それで選ばれたのが ウルタド&ハリャビン組

ということで、なかなかになかなかな戦いなのです。

世界選手権に1選手(組)が出る国が、次季の2枠得るのは、本当に大変なこと

そしてこの表を見て、静かにしかし強烈に思うのは、「世界選手権に1選手(組)が出る国が、次季の2枠を取ってくるのは、本当に大変なことなのだ」ということです。

スペインのアイスダンスには「2」枠あれば問題ないのですが、その「2」枠が取れないものなのですね。ほんっと、どちらの組もあと少しのところで「2」枠に届かない。もうちょっとなんだけど……。

今、各カテゴリーで「2」枠や「3」枠を持っている国々は、どこかでぐっと頑張って枠を増やした選手がいたり、またそれを保ち続けた選手たちがいた、ということなんですよね。そんなことを思うだけで、胸が熱くなります。

北京五輪代表選考基準

さて、スペインのアイスダンスの2020年北京五輪代表の選考基準ですが、フィンランディア杯とスペイン選手権、ヨーロッパ選手権の全合計点数の高い方に決まります。もし同点だった場合は、ヨーロッパ選手権の上位の方が選ばれるそうです。

フィンランディア杯2021

4位:スマート&ディアス 185.82点
5位:ウルタド&ハリャビン 185.57点

その差、0.25点。またまた僅差。 スマート&ディアスが少し上回っています。

スペイン選手権

そして、2021-22シーズンのスペイン選手権が、数日前に行われ、

1位: スマート&ディアス 202.47点
2位: ウルタド&ハリャビン 194.35点

少し差ができました。8.12点差スマート&ディアスが上回っています。

フィンランディア杯とスペイン選手権の合計点数の差は、8.37点。

残る選考大会のヨーロッパ選手権は、1月16日から始まります。私たちもドキドキしますが、選手本人たちの常に断崖絶壁感はすごいと思います。2組とも、がんばれ!

2つ終わった、あと1つ。

スペイン選手権後、ディアスさんが「2つ終わった、あと1つ」とつぶやいています。

ちなみに ディアスさん は、アイスダンスのカナダ代表・マディソン・ハベルと2018年に婚約しています。マディソンは以前はパートナーのザッカリー・ハベルとお付き合いされていましたが、別れています。そんなみんなが同じモントリオールのリンクで練習しています。

下のYouTubeでもそんな話もしていますね。

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hasegawahitomi
ライター 長谷川仁美です。 フィギュアスケートのこと、そのほかに日々のことなどを。 「やっぱり、フィギュアスケートっていいな」「やっぱり日常っていいな」という思いで、このサイトを続けています。